2026年 02月 05日
今を生きる
私たちの心は、晴れの日ばかりではありません。仕事のこと、家庭のこと、健康のこと、そして、まだ来ぬ未来のこと。大小さまざまな「悩み」という雲が、次から次へと湧きおこり、心を覆ってしまう日も少なくないでしょう。それは、この世に生を受けた、私たち誰もが抱える、ごく自然な心の働きです。
「あの時、ああしていれば…」と、過去を悔やむ心。
「この先、どうなってしまうのだろう…」と、未来を案じる心。
私たちの悩みの大半は、この「過去」と「未来」との間を行き来する、心の旅路の中で生まれると言われます。しかし、仏様の教えは、そのような私たちに、静かに、そして優しく、一つの真実を指し示してくださいます。
それは、「あなたに与えられている時間は、『今』この一瞬しかない」ということです。
私たちが、実際に触れ、感じ、そして、本当に「生きる」ことができるのは、『今』この瞬間だけです。
「今を精一杯生きること」。
これは、決して「後先考えずに、享楽的に生きなさい」ということではありません。むしろ、その逆です。今、目の前にあることに、心を込めて、丁寧に向き合うこと。それが、「今を精一杯生きる」ということの、本当の意味なのではないでしょうか。
一つのことに、心を込めて向き合っている時、私たちの心には、「悩み」という雲が入り込む隙間がなくなります。それは、まるで、目の前の一歩に集中して歩いている登山家が、山頂がまだ遠いことや、すでに歩いてきた道のりの険しさを、一時忘れているのと似ています。
悩みがあっていいのです。不安があっていいのです。それを、無理になくそうとする必要ないのです。ただ、その悩める心のままに、「南无阿弥陀佛」と、今、声に出してみてください。
その時、あなたは、悩みの雲の向こうにある、変わることのない阿弥陀如来さまの慈悲の光が、いつも、そして今も、あなたを照らしてくださっていることに、気づかされるでありましょう。
一日の中に、ほんのひと時でも、心を「今」に戻す時間を持つ。その積み重ねが、私たちの人生を、より深く、そして豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。
by junshoji
| 2026-02-05 14:53
| 住職日記


