阪神・淡路大震災31年

 あの阪神・淡路大震災から今日で31年になりました。


神戸市佛教連合会では、午後4時より東灘区・中勝寺さまで阪神・淡路大震災犠牲者(物故者)追悼法要を厳修いたしました。


小生、神戸市佛教連合会・会長として、導師を勤め表白文を奉読して、読経後ご挨拶させていただきました。


挨拶文を下記に掲載いたします。


本日ここに、阪神・淡路大震災三十一年犠牲者追悼法要を厳修するにあたり、神戸市佛教連合会を代表いたしまして、謹んでご挨拶を申しあげます。


ここ東灘区中勝寺さまのご本堂でお勤めできましたこと深く感謝申しあげます。


また、東灘区佛教会さまのご支援をいただきましたこと重ねて厚く御礼申しあげます。


今一度、三十一年前に発生いたしました阪神・淡路大震災により、命を奪われました六千四百三十四名の尊い命に対し、衷心(ちゅうしん)より哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆様に、心よりお見舞いを申しあげます。


また、本日の法要にあたり、ご多忙の中ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、そして、寒さ厳しき中、ご参列いただきました多くの皆様に、厚く御礼を申しあげます。


あれから、三十一年という歳月が流れました。


平成七年一月十七日、火曜日、午前五時四十六分。多くの人々がまだ夢の中にあった、あの静寂(せいじゃく)を破る、凄(すさ)まじい轟音(ごうおん)と揺れ。私たちは、決してあの日を忘れることはありません。


一瞬にして、愛する家族を、かけがえのない友を、住み慣れた家を、そして、当たり前であったはずの日常の全てを奪われました。昨日まで確かにそこにあった温もりが、無残に引き裂かれたあの日の悲しみと絶望は、今なお、私たちの胸の奥深くに、静かに、しかし、決して消えることのない痛みとして在り続けております。


三十一年という時間は、この街の姿を大きく変えました。倒壊した家々は再建され、ひび割れた道路は舗装され、神戸の街は、見事な復興を遂げました。しかし、それは、この街に生きた人々の、筆舌(ひつぜつ)に尽くしがたいご努力と、国内外から寄せられた温かいご支援の賜物であります。


そして何よりも、亡き人の面影を胸に、悲しみを乗り越え、歯を食いしばって今日まで歩んでこられた、ご遺族の皆様、被災された皆様の、尊いお力添えの結晶であります。


仏教では、この世のすべてのものは、絶えず移り変わり、同じ状態に留まることはないと説きます。これを「諸行無常」と申します。私たちは、この大震災を通じて、この無常の教えを、身をもって知らされました。


強固に見えた建物も、盤石(ばんじゃく)と思われた大地も、そして、何よりも、私たち自身の「いのち」もまた、決して永遠ではないという、現実を突きつけられたのであります。


しかし、仏教は、ただ無常を説き、諦めを教えるものではありません。無常であるからこそ、今この一瞬が、かけがえのない尊い時間であることを教えてくれます。無常であるからこそ、人と人との出会いが、有り難いご縁であることを示してくれます。


震災直後、人々は、見返りを求めることなく、互いに助け合いました。一杯の炊き出し、ひとつの毛布、そして、ただ隣で寄り添い、背中をさする温かい手。そこには、仏教で説く「慈悲」の心が、確かに息づいておりました。


私たちは、極限状態の中で、人間が本来持っている、利他の精神、思いやりの心の尊さを再確認したのであります。


私たちは、この震災で犠牲となられた方々の、無念の想いに報いるために、何をすべきでしょうか。


それは、第一に、この大震災の記憶を、決して風化させないことであります。三十一年という歳月は、震災を知らない世代が、社会の多くを占めるようになったことを意味します。


あの日の出来事を、そして、そこから得た教訓を、次の世代子や孫へ、またその次の世代へと、語り継いでいくこと。それが、今を生きる私たちの、重い、しかし、果たさねばならぬ責務であります。


そして第二に、私たちが受けた温かいご恩を、今度は、私たちが他者へと施していくことであります。


この日本、そして世界では、今なお、自然災害や紛争によって、多くの人々が苦しんでおります。その方々の痛みを、自らの痛みとして感じ、寄り添い、手を差し伸べること。それこそが、今は亡き尊い命の願いに応える道であり、仏の道を歩む私たちの、実践行ではないでしょうか。


最後に、その尊い犠牲の上に築かれた、この神戸の街の平和と、皆様お一人おひとりのご健勝、ご多幸を、心よりご祈念申しあげまして、私の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

                                   神戸市佛教連合会 会長 南无阿弥陀佛 善本秀樹拝



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by junshoji | 2026-01-17 19:42 | 住職日記