思い通りにならない人生

 師走の慌ただしさの中で、ふと耳にする言葉があります。


「人生は、なかなか思い通りにはいかない」

「ああしたい、こうしたい」

「どうして私だけが……

誰しも一度は、そんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。

私たちは知らず知らずのうちに、「こうあるべき」「こうであってほしい」という自分なりの筋書きを心の中に描いています。


しかし現実は、その通りには進みません。努力が報われないこともあれば、思いがけない出来事に足を止められることもあります。

佛教では、これを「思い通りにならないのが、この世の真理」と説きます。

それは決して悲観ではなく、「それが自然なのだ」という深い受け止めなのです。


苦しいとき、「なぜ自分だけが、こんな目に遭うのか」そう感じることがあります。


けれども、お釈迦さまは「比べる心が、苦しみを生む」とも教えられました。


人それぞれ、見えない荷物を背負い、見えない涙を流しながら生きています。

他人と比べるほど、自分の苦しみは大きくなってしまうものです。


不思議なことに、人生は思い通りにいかない時ほど、思いがけない出会いや学びを与えてくれます。


遠回りに見えた道が、あとになって「必要な時間だった」と気づくこともあります。

佛教の教えに「縁に生かされて、今ここにいる」という言葉があります。

自分で選んだつもりの人生も、実は多くの縁に支えられて、今の場所へと導かれているのかもしれません。


人生をすべて思い通りにすることはできません。

けれども、今日一日をどう受けとめるか は選ぶことができます。


・深呼吸をひとつ

・誰かに「ありがとう」をひとつ

・自分を責めすぎないことをひとつ

それだけで、心の重さは少し和らぎます。

思い通りにならない人生だからこそ、人は優しくなれます。


人の痛みが分かるようになります。

どうぞ今日も、そのままの自分で、静かに一歩を歩んでまいりましょう。

合掌 南无阿弥陀佛 善本秀樹 拝


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by junshoji | 2025-12-13 19:33 | 住職日記