中秋の名月

 今宵は十五夜・中秋の名月です。

秋の虫の音とともに、どこか懐かしく、穏やかな夜です。


昔から日本では、この夜を「お月見」として親しんできました。

収穫への感謝、自然への祈り、そして人と人との絆を確かめる日でもあります。

月を眺めるという静かな行為の中に、「今ある命を尊び、足るを知る」佛教の教えが息づいています。


お経にも、月をたとえにした言葉が多く見られます。

たとえば『維摩経』には

「月は清らかなれど、池の水が濁ればその影は歪む」とあります。


月が美しく輝いていても、私たちの心が曇っていれば、その光を正しく映すことはできません。


つまり、清らかな月を仰ぐように、まず自分の心を澄ませることが佛の道につながるのです。


雲に隠れていても、月はいつもそこにあります。見えなくとも、光は消えていません。


それは、佛さまの慈悲の光が、常に私たちを包んでくださっていることと重なります。


感謝と祈り・願いの心を胸に。


合掌 南无阿弥陀佛 善本秀樹 拝

中秋の名月_d0184114_13003264.png


by junshoji | 2025-10-06 17:48 | 住職日記